文化財詳細
動物形石製品
(指定・登録なし、八戸市南郷歴史民俗資料館、画像提供:是川縄文館、長さ8.5cm)
畑内遺跡出土 動物形石製品
文化財区分:
考古資料
時代区分:
弥生時代、弥生前期
指定区分:
重要文化財
収蔵場所:
八戸市南郷歴史民俗資料館
サイズ:
長さ8.5cm
本資料は、弥生時代の集落跡である畑内遺跡から出土した。出土地点が弥生時代前期の土器が多く出土した場所であるため、弥生時代前期のものである可能性が高いと考えられる。石質は凝灰岩(ぎょうかいがん)で、資料左側などにある穴は軽石が抜けたものである。
本資料は、全体的にずんぐりとした形であること、胸の部分にわずかに横位沈線が入っていること、耳が小さいことなどから、ツキノワグマを模していると考えられる。モチーフとしては、イノシシである可能性もあるが、資料の造形から可能性は低いとされる。
動物を模した道具は、縄文時代から様々なものが製作されており、弥生時代に入ってからも引き継がれた。これらの製品は、土製品や石製品として単体であるものと、土器の突起・把手などとして意匠があしらわれるものとに大別できる。このうち、単体の石製品は可塑(かそ)性のある粘土とちがって加工が難しいため、抽象的なものが多く、本資料のように写実的なものは珍しい。
また、動物を模した製品は全体数が少なく、当時の人びとの動物観を表す資料の一つとして貴重である。
解説執筆者 : 佐藤 ちひろ
推薦文献 : ①八戸市『新編八戸市史 考古資料編』 ②八戸市『八戸市史 通史編Ⅰ原始・古代・中世』