文化財詳細
日本刀 銘「備州長船幸光」
(県指定(県重宝)、櫛引八幡宮 国宝館、(画像提供:八戸市教育委員会社会教育課)、南北朝時代、長さ88.5㎝(2尺9寸2分))
日本刀 銘「備州長船幸光」
文化財区分:
工芸品
時代区分:
南北朝時代
指定区分:
県指定(県重宝)
収蔵場所:
櫛引八幡宮 国宝館
応永18年(1411)根城南部家10代・南部光経(みつつね)が、戦勝の報告と祈願への返礼として、白糸縅鎧・兜と共に櫛引八幡宮へ奉納したものとされる。櫛引八幡宮は、糠部(ぬかのぶ)郡を賜った南部光行(みつゆき)が甲斐国の八幡大明神を建久3年(1192)に六戸瀧ノ沢村に仮宮として移したことに始まり、後に櫛引村へ社殿を移し「櫛引八幡宮」を称したと伝えられており、今なお八戸や周辺地域、岩手県北の人々にも厚く信仰されている。
備前国長船(おさふね)に住した刀工「幸光(ゆきみつ)」は、南北朝時代から安土桃山時代までに複数人同名が確認できるが、裏銘に「永徳二年」の年紀があることから、最も古い南北朝時代の刀工の作であることが分かる。鎬造(しのぎづくり)に庵棟(いおりむね)で、元幅と先幅に差があり、刃文は大きな互の目が賑やかな丁子乱れとなる。長大で堂々とした、時代を表現する優秀な作と評されており、資料的にも美術的にも貴重である。
解説執筆者 : 八戸市博物館 山野 友海
推薦文献 : ①八戸市教育委員会 2003『はちのへ文化財ガイドブック』 ②得能一男 2013『刀工大鑑 太鼓版』光芸出版 ③青森県庁ホームページ