文化財詳細
御上洛東海道
文化財区分:
絵画・書
時代区分:
江戸時代、江戸後期
指定区分:
指定・登録なし
収蔵場所:
八戸クリニック街かどミュージアム
作者:
歌川貞秀 、歌川芳艶、河鍋暁斎
嘉永6(1853)年の黒船来航以降、本格化する尊王攘夷(そんのうじょうい)運動に対し、幕府は公武合体による幕藩体制の再強化を目論み、文久2(1862)年14代将軍徳川家茂(いえもち)と天皇の妹・和宮(かずのみや)の結婚を実現させ、更に翌年家茂自ら上洛し朝廷側が望む攘夷決行を約束した。この将軍上洛は、3代家光以来の出来事で、政情不安を考慮し、派手さを抑えたものの総勢3000人からなる大行列で、京都まで22日間を要した。
この229年ぶりの大イベントに、浮世絵界は色めき立ち、幕末三大浮世絵師の内、唯一存命であった歌川国貞(くにさだ)を筆頭に、国貞・広重・国芳の弟子達にあたる2代広重・貞秀(さだひで)・2代国貞・国周(くにちか)・芳虎(よしとら)・芳年(よしとし)・暁斎(きょうさい)など、当時の主要絵師16名、25の版元が共同して全162枚にものぼる大型シリーズ、通称「御上洛東海道」を刊行した。徳川将軍を直接描くことは禁じられていたため、源頼朝などに仮託し、美人画と融合させたり、滑稽味を交えたり、巧みに構図を操りそれぞれ持ち味を活かした作品群となっている。
この他にも、この御上洛を題材にした作品は多く、近世鳥瞰図の第一人者歌川貞秀が描いた「東海道一覧図(仮称)」は、珍しい9枚続きの大作である。
解説執筆者 : 八戸クリニック街かどミュージアム 小倉 学