八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club

この本・この資料『黄落の夕景』―老イテモ春秋アリ

竹岡準之助著

 このコーナーで既に紹介して来たが著者・竹岡さんは郷土が誇る作家・ 故三浦哲郎さんと早大時代の同人誌 『非情』仲間。三浦さんについてはこれまで同様、幻戯書房から『白夜の忌〜三浦哲郎と私』や『青春の日記―三浦哲郎のこと』などを出版している。新刊『黄落の夕景』でも随所に三浦さんが顔を出す。

 例えば第7章では幻戯書房編集者から「三浦哲郎様の最後の連作集『燈火』が命日(8月29日)に書店へ並ぶ」予定を知らされ「同じ出版社から三浦と私の本が出る。雲の上にいるような人だったが、降りてきて『よう』 と声をかけられたような気持」と感激し畏敬の念を表す。

 第2章、総括「冥土の土産」ほかの章にも三浦師の記述あり。著者と三浦師との新たな交友ぶりが彩を放ち黄落、夕景さらに輝く一冊だ。

幻戯書房刊、299㌻、2300円+税