八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club
この本・この資料「燈火」
三浦哲郎著
畏敬の小説家、三浦哲郎さんの七回忌を偲ぶように。“銀河叢書”として出版された短編集だ。
第1章「音」は生まれ故郷・八戸へ帰省した馬淵はあるご婦人(作品 「長けた御婦人)とリッチにステーキ食を楽しむがその後、血を吐き入院。抱えていた胃潰瘍が再発、 血管の切れる「音」を病院のベッドで想起する。ところが、東京から駆けつけた妻は、夫(馬淵)が着て出かける旅行着の内ポケットに小さな鈴がついた「氏神様のお守り」を縫い付けていたことを明かす。
2章は「花」、続く「涙」など未完に終わる9章「旅」まで漢字1字の章立て。短編集は馬淵を通した著者自身の体験、周りの家族らの暮ら しぶり、会話などが抒情的に描かれまさに「短編の名手」を彷彿。20年ほど前、朝日新聞社「一冊の本」に連載された作品を単行本として刊行したもの
幻戯書房の「銀河叢書」 は未完の作品などを掘り起こす双書。 幻戯書房刊、231㌻、2800円+税