八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club
短編映画で海外賞 『マイ・ホーム』
大庭れいじ
今思い出してみても、私が脚本・ 撮影・編集・監督を担当した短編映画『マイ・ホーム』が誕生したのは奇跡だったとしか思えない。震災以後、震災復興支援チャリティ朗読ライブを開催したりチャリティ似顔絵を描いてきた私であるが、心の底に徐々にたまっていった様々な念がマグマのように瞬間的に噴火してしまい、形になったのが『マイ・ホーム』 である。東日本大震災で亡くなった人が幽霊となって今もこの世を彷徨っているという内容だが、生者の私も同じく彷徨っている。
今年の7月にインドとベネズエラの国際映画祭で入賞し、9月にはインドのジャン=リュック・ゴダール賞最優秀舞台芸術賞を受賞した。私は自分の魂の一部のような『マイ・ ホーム』を海外のいろいろな国の人たちにわかってほしくてあちこちの国際映画祭に出品したが、理解してくれる国とそうでない国があることを知った。映画が醸し出す切なさや淋しさや虚しさを嗅ぎ分けてもらえたかどうかがポイントだったと私は勝手に解釈している。
(八戸ペンクラブ会員)