八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club

この本・この資料「青森 キリスト者の残像」

木鎌耕一郎著

 著者は当クラブが昨年7月期の講演会で講師に願った方である。その時の演題が「新郷村とウェストン」。 明治35~36年、新郷村や周辺一帯が大凶作に見舞われた。その救済に東奔西走されたのがキリスト教宣教師のウォルター・ウエストン卿であり、 当地方は大恩を受けている。

 第一部が「青森とキリシタン」で津軽氏とイエズス会や南部氏とキリシタンを説く。第二部では八戸におけるハリストス正教会の宣教、 その周辺を追う。第三部は「青森飢饉とウェストン」で新郷村でのウェストン祭、戸来家の顕彰活動にスポット

  江戸期、徳川家康の禁教令などにも記述が及び興味深い。この上枠は青森とキリスト教の出会いを「網羅的に扱ったものではなくその中のいくつかの事象を抽出して検証した」 もの。4月20日付け東奥日報書評欄で執筆者の寺尾寿芳聖カタリナ大学教授は「近代日本キリスト教史で比較的目立たなかったハリスト正教会とカトリックに特別の光を当てており、貴重」と高評された。

 著者は神奈川県生まれ、八戸学院大人間健康学部教授など。イー・ピックス「大船渡印刷出版部」発行。233㌻、1500円+税