八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club

会員寄稿 かだるべし!八戸の未来

畑中美鈴

 去る十月八日、九日の二日間、N PO在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク主催の全国大会 「23回全国の集いin八戸」が開催された。

 大会スローガンは、“かだるべし!創るべし!地域の暮らし日本の未来”である。

 実行委員会メンバー、大会会長の小倉和也医師以下44名の医療従事者で構成され、大規模な大会となった。

 皆様ご周知の事と思うが、大会長の小倉医師は家庭医として広く知られ、八戸市を中心とし在宅医療に積極的に取り組んでおられる方だ。

 現在、日本の地域社会は歴史上類を見ない少子高齢化を迎えている。 高齢者の増加により、人生の終焉を住み慣れた場所で迎えるための地域包括ケアシステムの構築が急務であり、その他少子化対策、障がい者自立などの課題も山積みである。

 自分らしく生きられる地域社会を実現するために、高齢者・子ども・ 障がいを持つ人・子育てや介護する人すべての人たちが安心して生活できる地域共生社会の実現に向けて、 医療・介護・福祉・教育・行政等様々な分野の専門家と市民の協力の必要性を強調する。

 今大会のプレ大会として、四月八日、八戸自由大学主催「八戸自由大学講座100回記念シンポジウム」 が開催された。

 小倉医師の基調講演・演題は“地域共生社会の実現に向けて”である。 「これからの地域包括ケアシテム、 地域共生社会においては、どのような立場の人も他人事ではなく自分の事として地域のくらしを支える仕組み作りに関わる必要があり、少子高齢化を克服する地域のくらしを作ることが、次世代の安心に繋がり最終的に日本の未来を作ることである」 という内容の講話であった。

 パネルディスカションでは、在宅医療・子育て支援・認知症患者と家族・障がい者支援についての意見交換がなされ、八戸地域の未来に向けた取り組みを紹介した。百名以上の出席者があり関心の高さをうかがわせた。

 全国大会当日は、シンポジウム、 公開講座、実践交流会、セミナーなどが多数開催された。 シンポジウム「多職種と市民で作る共生のまち」(八戸自由大学共催) では、シンポジストとして上條勝芳八戸ペンクラブ会員と著者が登壇し、 基調講演は秋田往診クリニック理事長市原利晃医師であり、秋田市の多職種連携の現状と今後の課題について講話頂いた。

 障がい者支援施設のぞみ園施設長の上條氏からは、障がい者が共生できる社会の実現に向けた取り組みを紹介頂いた。

 著者は、市民代表として、在宅で母を看取った経験について発表した。小倉医師に在宅医療を依頼し、住み慣れた自宅で家族の腕の中で命を終えるまでの出来事、医療関係者との関わりなどを交え、多職種連携の素晴らしさを伝えた。

 聴講者の少なさに、一般市民の関心の低さを痛感したが、今後は、医療機関、家族主体の看護介護ではなく、患者の意思を尊重する思いやりのある地域社会が築かれることを強く望むものである。

(八戸自由大学主宰)