八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club

講演会報告 八月期の例会模様

安田勝寿

 去年から熱望していた、小笠原彩子さんの講演会を開催できた満足感。 大いに盛り上がり、長帳場になったため一旦休息を入れたが、休憩中も講師は質問責めに合い、いつの間にか質疑応答に突入。いかに会場が、 熱気と期待に溢れていたかお分かりいただけたでしょう。

 講演の演題である「斗南藩」についてたっぷりと語っていただいた。 前職が、三沢先人記念館の学芸員だけあって、廣澤安任と斗南藩を語らせたら、青森県で右に出る人はいないでしょう。研究者としての視点、女性としての見方、鋭い考察をちりばめた講演は、まるで熟年の大学教授を彷彿させながら、テンポがいいので全く飽きない講演会にしつらえられていた。パワーポイントが体系的にまとめられているので、自分なりに考察しながら、当時の会津人の思いに、少し近づくことができたと思っている。

 斗南藩は1年9か月しか存在しなかった故に、幻の藩と呼ばれていた。 不毛地帯と呼ばれた地域をあてがわれたにもかかわらず、力強く生き抜き地域に根付き、南部地域の先住者に与えた影響は計り知れない。安任がいなければ、廃藩置県により、現在の青森県の形態にはならなかったという衝撃の事実。南部と津軽が分断される公算が大きかったようだ。そうなると今の生活基盤がどうなっていたか?先人の尽力に感謝である。

 会津の人々は、北上する際も、教科書を必ず携えていたとのこと。それ故に学問が良くできたので、当時識字率の低かった青森県においては、 会津の人々はかなり重用された。後に、先生や政治家をたくさん輩出し、 地域の発展に多大なる貢献をした事実は言うまでもない。歴代の八戸市長にも、会津の流れをくむ子孫が活躍していることも周知の事実。大河ドラマ「八重の桜」のファンであれば、なおさら時代背景を学んでみると、違った角度でドラマを楽しむことができるのでは。

 小笠原彩子さんのお陰で、会津の地を訪れてみたくなった。素晴らしい講演ありがとうございました。