八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club

会員文芸・論壇 演劇の街再びへ確かな一歩

柾谷伸夫

 平成24年度は、僕にとっては大変勤の年であり、同時に大忙しの年だった。(いつものことだが・・・・・・?)

 3月に41年勤めたウルスラ学院を退職した。3ヶ月間、ちょっとだけ自由な時間を過ごし、7月から八戸市公会堂、八戸市公民館、南都文化ホールの指定管理者 ㈱=アート&コミュニティで公民館々長兼企画事業アドバイザーという形でお世話になることになった。

 勤務し始めてすぐ、ポータルミュージアムはっち主催の「はちのへ演劇祭」に実行委員長で関わることになった。高校演劇はともかく、 所謂一般人の演劇活動の衰退が叫ばれて久しい状況を打破しようという目的で企画された。7月8日のオーデションから始まり、10月下旬から 11月中旬までの3週間に及ぶ演劇祭まで、稽古、稽古の4ヶ月間だった。 嬉しかったのは、連日満員に近い観客動員があったこと。会場のはっち 2Fシアター2は3分の2を平台を使って階段状の客席を作り、往時の小劇場雰囲気が醸し出された。1週目の一般短編12作品中2作品に出演した。ジャンルの違う短編を1日に 3~4本観れるというアイディアがうけ、ロコミで広がり、当日券も相当数にのぼった。

 3週目はオーデションで参加した人たちを中心にした一般長編演劇 「銀河鉄道の夜へ」。高校2年生から55歳までの20人を超えるキャストだ。 客席に星球という照明器具をたくさんならべて、会場そのものを宇宙に見立てた。初心者は勿論、高校演劇経験者も含めての、連日深夜に及ぶ稽古。1週目の短編の稽古と重なり、 両方に出演する何人(僕も)かはキツイ毎日が続いた。

 スタッフ・キャストが力を合わせて創りあげた舞台は、自己満足ではなく、濃密なステージとなった。消劇祭終了後、新しい演劇集団が発足したという。若い彼らが新しい演劇状況を切り開くと確信している。

 平成25年1月12日は八戸市公民館ホールで「うみねこ演劇塾」の発表会があった。これは、企画事業アドバイザーとしての僕の仕事の一つだ。 高校演劇と一般演劇。その範疇に入らない子どもたちと65歳以上の方々にも演劇の楽しさを味わってもらいたいということで企画したものだ。シニア演劇塾は「待合室」。イタコの口寄せ希望者が待っている間の人間模様を描いたものだ。年齢に合わせた登場人物を想定して書いた。74歳を筆頭に真摯に稽古に取り組む姿は崇高だった。

 ジュニア演劇塾は青年会議所制作の絵本「ウーとスー」をもとにミュージカルとして脚本化した。小学3年から中学2年までの18人が歌とダンスと演技に挑戦した。子供たちのエネルギーに僕も観客も圧倒された。

 この後、うみねこ演劇塾を継続させるとともに、新しく「南部昔コ語り部」講座を開講しようと思っている。体力的にキツイところもあるが、 いろんな方からのエネルギーを買いながら頑張ろうと思っている。