八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club
この本・この資料「勢五のいる風景」
山根勢五著
著者は当クラブ顧問で、八戸の生き字引、山根勢五さん。活躍ぶりは若さを失わず・・・で採録される8章101編の“風景描写”や筆致は優しく畏敬の念を抱かせる。
書き出しがまた突飛と言ってよかろう。「それは、どう考えてみても奇妙なこと」。何が奇妙かと言えば、 自分がこの世に誕生し、「産湯をつかわされているときの光景なのでしょう」。「木のたらいに仰向けに浮きながら、私はわが家の煤びかりする天井をながめていた」というのだ。 そういえば、かの宗教人が生まれてすぐ、すっくと立ち上がり「天上天下、唯我独尊」と叫んだとか。
昨年10月、発刊しすぐ出版祝賀会が開かれペンクラブの同志や関係者は既に読まれた方も多いはず。冒頭の第一章「生いたちの譜」「金色の雲」 から第八章「平成挽歌」までその記憶力と筆力で読者に迫る。
著者は米寿を超されるが宮中歌会始入選など、歌人として知られ、ウオーキングクラブで十和田湖や中国ウオークにも参加してきた。その“ターボエンジン付き”車台は体験、見聞いっぱいで行間に花開く。 まさに「生きた 書いた 山根勢五 渾身の自分史」。八戸市で毎月発行されるタウン誌「うみねこ」へ8 年余連載されたエッセイの集大成。
うみねこ出版社刊、頒価2000 円(税込み)