八戸ペンクラブ
The Hachinohe P.E.N. Club
会員寄稿 寂聴さんが直接、自宅へ電話・・・
吉田德壽
ある日突然、自宅の電話が鳴った。急いで受話器をとったところ「吉田さ〜ん、寂聴です」と親しみのある声。京都の寂庵からご自身が直接電話を掛けてくれるなんてビックリだ。
実は芥川賞作家『三浦哲郎〜作風と文学への旅』を東奥日報で連載し終え書籍化しようと寂聴さんへ再登場を要請する手紙を送っていた。電話は「どうぞ、ご自由にお使いください」との温かい言葉であった。
日本ペンクラブ会員である私は井上ひさし、浅田次郎ら歴代会長や中村敦夫、中島京子ら各氏とも年次総会、懇親パーティで面識がある。中島さんの講演を聞きたくて京都まで行き「わざわざ八戸から」―と“かたづのさん”に笑われた。
寂聴さんの取材もその京都でーと願ったが11年9月13日、東京会館でご本人呼びかけの三浦さんを偲ぶ会が開かれ同会館での取材となった。
寂聴さんは「三浦さんがアルバイト時代(PR編集社勤務)私のところへ原稿依頼に来られた。目の覚めるような美青年だった」と語り「あなたは小説で名を挙げる」と初対面ながらオーラを感じ託宣したと屈託ない。出会いは三浦氏も自著『時のせせらぎ』(講談社)で明かしている。