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大学生主体のまちづくりによる地域活性化のためのICT機器の開発によるベンチャーマインド取得教育

著者:柴田 幸司 SHIBATA Kouji 花田 一磨 HANADA Kazuma

筆者は2013年、Linuxマイコンと携帯電話網に接続可能なUSBモデムとを組み合わせ、小型かつ安価な遠隔監視システムを構築した。そして、本システムにWEBカメラや温湿度センサを接続し、タブレットコンピュータなどのスマートデバイスを用い、センサから遠く離れた場所からでも、インターネットおよびVPNを介し、Webブラウザにてカメラ画像や温湿度センサなどの情報が取得可能であることを示した。一方、八戸工業大学では同じく2013年度より、学生チャレンジプロジェクト(学チャレ)と称する、大学生の提案による機器の開発や地域貢献活動を資金面で援助する事業を継続している。これに対し、本学工学部電気電子システム学科の1~4年の学生は、2014年にICT(情報通信技術)により震災復興を支援する目的で、筆者の指導の元で縦割りのボランティアグループを結成した。そして、学チャレのテーマとして、このグループの学生による、マイコンやセンサ機器を組み合わせた地域の復興に貢献できるICT機器の開発や、機器を活用した地域貢献に取り組んだ。その際、彼らの所属学科は資金および技術面で全面的に彼らを支援した。2015年はこれらの活動を発展させ、八戸市からの資金の援助も得つつ、市との協働により学生主体によるICTを活用した街づくりや街おこし活動を展開した。更に2016年、彼らはJR東日本からの依頼により、観光名所のみどころを離れた場所にてリアルタイムで配信するシステムを用い、駅構内で種差海岸の様子を中継するイベントを、学生だけの運営により実施した。更に、COC+八戸ブロックが主催するイノベーションベンチャー・アイデアコンテストでは、開発した農作物生産支援システム等を出展して準グランプリ賞を得た。そして、2017年には青少年のための科学の祭典2017八戸大会に出展し、当該ボランティアグループの学生が小中学生を対象とした、マイコンとセンサによる遠隔監視システムを構築するプログラミング講座や、関連するICTの普及活動を企画・実行した。この様に筆者は、学生が主体的に活動して成長できるICTを活用した能動的な教育を数年間、継続的に実践している。そして現在、これらのスキームを正課として組み込む方法を模索している。本報告では、これら一連の大学生に対する地域社会と密着に関わる形でのICT技術の教育法やベンチャーマインド育成の取り組みを紹介する。

掲載元情報八戸工業大学紀要第37巻,pp.133-143 The Bullet in of Hachinohe Institute of Technology,37,pp.133-143
カテゴリーIT・情報システム開発,活動・製作,教育,まちづくり・観光,工学
発行年月日2018/3/31
閲覧先八戸工業大学学術リポジトリ
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