ハチノヘミンゾクゲイノウ‘エンブリ’ハヤシノシンリガクテキコウカ

八戸民俗芸能‘えんぶり’囃子の心理学的効果

著者:畑山 俊輝 金地 美知彦 深澤 伸幸

本研究は,青森県八戸市における国の重要無形民俗文化財の指定を受けている「八戸えんぶり」お囃子音楽の心理学的効果について明らかにしようとした。そのため,「えんぶり」囃子の音楽により人々が抱くイメージを,心理学的観点から分析した。対象者は,大学生44名(男性 33名,女性 11名,年齢 18歳~21歳)であった。彼らに,イメージを言いあらわす 21項目の形容詞語からなる印象評定票を用いて,音楽聴取時にそれぞれの尺度の形容詞語で描かれるイメージの程度を尺度上に記入するよう求めた。「えんぶり」音楽 2曲を西洋の古典音楽 2曲と比較した。結果は次のようであった。「えんぶり」の曲同士には,印象評価値を基に算出した Spearmanの相関係数により極めて高い類似性が見られた。また,「えんぶり」の楽曲 1と「Badinerie」と類似性は高く,「えんぶり」の楽曲 2と Badinerieとでは,類似する傾向が見られた。「えんぶり」の 2楽曲が喚起するイメージとしては,「動的な」,「陽気な」,「にぎやかな」などの形容詞語と関係していた。このことは,伝統的な「えんぶり」のお囃子にポジティブな効果が認められることを示した。

掲載元情報八戸学院大学紀要 第39号(2009) pp.75-84
カテゴリー医療・福祉,文化
発行年月日2009/12
閲覧先八戸学院学術情報リポジトリ
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