マツリハヤシヘノインショウヒョウジョウニチイキトクイセイハミラレルカ

祭り囃子ヘの印象評定に地域特異性はみられるか

著者:畑山 俊輝 金地 美知彦

本研究は,「八戸えんぶり」お囃子音楽の心理学的効果が他地域の「祭り囃子」や,その他の音楽といかに異なるかを明らかにしようとした。本研究が先の研究(畑山ら,2009)と異なるのは,先の研究で「えんぶり 1」とした曲 2 を大館神明社例祭の「剣囃子」に変えたことである。対象者は,大学生 81 名(男性 63 名,女性 18 名,年齢 18 歳~32 歳)であった。彼らに,イメージを言いあらわす 21 項目の形容詞語からなる印象評定票に,音楽聴取時にそれぞれの尺度の形容詞語で描かれるイメージの程度を尺度上に記すよう求めた。祭り囃子の 2 曲を,バロック音楽 2 曲と比較した。結果は次のようであった。祭り囃子の曲同士には,印象評価値をもとに算出した Spearman の相関係数値が極めて高く,相互によく似た印象を評価者が描いていることが分かった。また,楽曲 3・Badinerie は 2つの祭り囃子とよく似ていて,横笛が祭り囃子をポジティブに評価するのに大きい役割を果たしていることが推定できた。また,「えんぶり」評価が,特に八戸地域出身者で大館の「剣囃子」よりも高かったことは,生まれ育った地域の祭り囃子に比較的特異的な反応を喚起する仕組みとして音楽の「こころの理論」が形成されていることを示唆した。

掲載元情報八戸学院大学紀要 第41号(2010) pp.65-73
カテゴリー医療・福祉,文化,地域分析
発行年月日2010/12
閲覧先八戸学院学術情報リポジトリ
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