HACHINOHE HISTORIA

ハチノヘシジュウミンノシイントセイカツシュウカンニカンスルチョウサケンキュウ

八戸市住民の死因と生活習慣に関する調査研究

著者:吉田 稔 佐々木 亮 佐藤 千恵子

 本調査の目的は三八地区の死亡状況や疾病状況を把握し,将来のこの地域の生活環境の変化が住民の健康にどのような影響をもたらすかについて明らかにすることである。八戸市と全国との死因別死亡率を比較した場合,全国に比べ心疾患,肺炎の死亡率は低く,悪性新生物死亡率は同レベルにあった。悪性新生物を部位別に見た場合,全国に比較し,乳がん死亡率は高いが,子宮がん死亡率は低値であった。脳血管疾患や自殺の死亡率は全国に比べ高値であった。生活習慣に関する調査では男子の喫煙率や多量飲酒(3 合以上)習慣者の割合は全国,青森県に比べ高値を示した。ストレスについては女子において「感じている・多少ある」と答えた人の割合が全国に比べ高く,40 歳代女性で顕著であった。中高年の肥満(BMI 25 以上)の割合は全国に比べ,女子の 40 歳代と 60 歳代で顕著に高い値を示した。食生活に関する調査では塩分摂取量は成人 1 日当たり 11.5 g で全国平均値10.8 g より高値であった。野菜摂取量は全国・県に比べ低く,緑黄色野菜に至っては 1 日の目標摂取量の 1/2 であった。  以上のことより,将来の八戸市民の健康維持・増進には脳血管疾患や心疾患のリスクファクターである喫煙,過度な飲酒,ストレス,過剰な塩分摂取の減少のための啓発活動が必要であることが明らかとなった。

掲載元情報八戸学院大学紀要 第41号(2010) pp.75-87
カテゴリー医療・福祉,地域分析
発行年月日2010/12
閲覧先八戸学院学術情報リポジトリ
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