文化財詳細
郷土刀工「奥観寿吉廣」と「精壮斎宗有」
文化財区分:
工芸品
時代区分:
江戸時代、江戸後期
指定区分:
県指定(県重宝)、市指定
収蔵場所:
八戸市博物館
江戸時代、八戸の城下町や近隣の村々には、農具や工具、刀剣を作る鍛冶職人たちがおり、野鍛冶として在地で製作する者もあれば、藩から扶持を与えられる者もいた。八戸藩の刀鍛冶としては、小笠原氏・鈴木氏・佐々木氏などが確認されており、中でも小笠原氏の系譜は、藩から「鍛冶棟梁(鍛冶頭)」を仰せ付かっていた御抱え刀工で、打った刀を藩に献上することもあった。
小笠原氏の中でも特に優れた技量と評され、「キララ肌」と呼ばれる独特の地肌を鍛えた「奥観寿吉廣(おくかんじゅよしひろ)」は、刃文から帽子、茎、銘の切り方に至るまで、几帳面で丁寧な仕上がりとして評価が高い。文政13年(天保元年/1830)に修行のため江戸へ上り、いずれの門下となったかは不明だが、その作風から水心子正秀(すいしんしまさひで)の門人であったとも考えられている。
江戸で固山宗次(こやまむねつぐ)の門人となり、生涯を江戸青山で過ごしたとされる「精壮斎宗有(せいそうさいむねあり)」は、藩士の中でも人気が高く、長大で豪壮な姿の切れ味に重きを置いた造り込みが多くある。宗有が独自に編み出したとされる「桜丁子」と呼ばれる刃文は、今なお郷土の愛刀家たちに愛されている。
解説執筆者 : 八戸市博物館 山野 友海
推薦文献 : ①八戸市博物館 1988『八戸藩刀工の系譜 郷土刀剣展 展示目録』 ②冨岡昭 1999「八戸藩刀鍛冶・精壮斎宗有‐作刀と系譜‐」『刀剣美術 第505号 二月号』財団法人日本美術刀剣保存協会 ③冨岡昭 2005「八戸藩小笠原刀鍛冶・奥観寿藤原吉廣‐作刀と系譜‐」『刀剣美術 第576号 新年号』財団法人日本美術刀剣保存協会