文化財詳細
#絵画・書#指定・登録なし#大正時代#八戸市美術館
七尾英鳳《十和田湖春秋》
文化財区分 | 絵画・書 |
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時代区分 | 大正時代 |
指定区分 | 指定・登録なし |
収蔵場所 | 八戸市美術館 |
《十和田湖春秋》は、大正11年(1922)、七尾英鳳(ななおえいほう)(1884〜1962)が37、8歳の頃の作である。大型の六曲一双屏風で、右隻に春、左隻に秋の風景が描かれている。春景には青々とした松と満開の桜が描かれ、左方へ広がる水面は穏やかで、遠くの山頂には雪が残る。一方、秋景の木々は紅葉しており、右下では収穫の終えた田んぼを背景に、人物と牛が橋を渡っている。彼らの行先は、木々の向こうに垣間見える川辺の集落だろうか。さらに左には流れ落ちる滝が描かれている。両隻ともに近景から遠景への奥行き表現が見事で、霞や空に散りばめられた金砂子は作品をより華やかにしている。
英鳳は「十和田湖の画家」と呼ばれ、十和田湖や種差海岸など郷土の風景をよく描いた。また、独学の画家でありながら自ら「四条派日本画家」と名乗っており、これは四条派に学んだ祖父・対岳の影響だといわれる。しかし、英鳳の作風は四条派の域に留まってはおらず、伝統的な水墨山水画や狩野派を想起させる皴(しゅん)法〔筆致で岩や幹などの質感を表現する画法〕や、琳派のようなたらしこみ技法、西洋画を思わせる陰影表現など多彩で、広く貪欲に学んだ英鳳の姿勢が感じられる。
解説執筆者 | 八戸市美術館 篠原 英里 |
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推薦文献 | 七尾英鳳作品図録刊行委員会 1989『七尾英鳳作品図録 七尾英鳳の世界』 |
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