HACHINOHE HISTORIA

八戸市の観光政策について

八戸市 商工労働観光部 観光課

 八戸市は「海から拓け、海とともに発展してきた」と言われるように、昭和10年代にかけて漁港及び商港の近代化が進められ、その後、昭和35年に特定第三種漁港に、さらに昭和39年の新産業都市の指定を契機に、大規模な工業港、漁港、商業港の整備が進められ、また、背後に工業地帯が形成されるなど、全国屈指の水産都市、北東北随一の工業都市にまで発展を遂げてきました。

 そして、平成14年の東北新幹線八戸開業を契機に、「観光都市」としてさらなる発展を遂げるべく、官民が連携し、観光客の受入体制の整備とともに、ユネスコ無形文化遺産「八戸三社大祭」、国重要無形民俗文化財「八戸えんぶり」、「三陸復興国立公園 種差海岸」、ご当地グルメの祭典 B-1グランプリで優勝した「八戸せんべい汁」や日本一脂が乗ったサバとも評価される「八戸前沖さば」など、当市が誇る歴史や文化、自然、食をはじめとする地域資源のプロモーションによる観光誘客の促進に取り組んできました。

東北新幹線八戸開業を契機に誕生した「八戸屋台村 みろく横丁」(画像提供:八戸市 商工労働観光部 観光課)
東京ドームで開催される「ふるさと祭り東京」での「八戸三社大祭」のプロモーション(画像提供:八戸市 商工労働観光部 観光課)
「さっぽろ雪まつり」での「八戸えんぶり」のプロモーション(画像提供:八戸市 商工労働観光部 観光課)

 また、近年は、情報化社会の進展による旅行者の行動範囲の拡大や旅行ニーズの多様化に伴い、広域観光の重要性が高まっていますが、当市においては、藩政時代から密接な関係にあった岩手県久慈地域及び二戸地域との連携や、フェリー航路でつながる北海道苫小牧市と連携しながら広域観光の推進に取り組んできたほか、平成29年には、近隣7町村と連携中枢都市圏を形成し、広域観光の推進に取り組んでいます。

 こうした取組の成果により、新幹線開業以前は約300万人台で推移していた当市の観光入込客数は、コロナ禍前の令和元年には約660万人にまで増加しています。

 平成31年4月には、観光誘客・物産振興の一元化により、これまで以上に効率的・効果的な事業展開を図るため、関係団体が統合し、八戸圏域の観光振興及び物産振興に取り組む観光地域づくり法人(DMO)※1として、一般財団法人VISITはちのへ(以下、『VISITはちのへ』)が誕生しました。

 VISITはちのへでは、デジタル技術を活用し、八戸圏域への来訪可能性の高い方をターゲットにプロモーションを行うデジタルマーケティング事業、人口減少時代において重要性が高まっている訪日外国人観光客、いわゆるインバウンドの誘客などに取り組んでおり、当市では、こうしたVISITはちのへの各種事業の実施を支援しています。

 また、市では、近隣7町村と連携し、八戸圏域産品の認知度を高め、地場産品の販路拡大を図りながら、継続的に地域を応援してくれる関係人口の形成・増加を目指すとともに、観光誘客、UIJターンによる雇用促進や移住・定住を促進するための首都圏交流拠点として、令和2年9月10日、東京日比谷に「八戸都市圏交流プラザ8base(エイトベース)」(以下、『8base』)を開設しました。

東京日比谷に開業した八戸圏域の首都圏交流拠点「八戸都市圏交流プラザ「8base」」(画像提供:八戸市 商工労働観光部 観光課)

 8baseでは、八戸圏域の地場産品の販売や八戸圏域の食材を活用した食事の提供に加え、八戸圏域にゆかりのある方をゲストに招聘し、八戸圏域の魅力を語っていただく交流会を開催するなど、八戸圏域の認知度向上やファンの創出・拡大に取り組んでいます。

「八戸都市圏交流プラザ「8base」」で開催する交流会 (画像提供:八戸市 商工労働観光部 観光課)

 2020年(令和2年)の国勢調査による八戸市の人口は223,415人となっており、1995年(平成7年)の旧南郷村の人口を合わせた249,358人をピークに減少を続け、国立社会保障・人口問題研究所(以下、『社人研』)の将来推計人口によれば、現状のまま人口減少が進む場合、2040年には175,916人に、2060年には121,100人にまで減少すると推計されています。

 国では「観光」を“地方創生”※2の切り札に位置付けており、当市におきましても、「第7次八戸市総合計画」や「第2期八戸市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、『総合戦略』)において、観光振興により交流人口の拡大を図り、地域の活性化に取り組むこととしています。

 また、総合戦略においては、観光地域づくりをはじめとする各種施策の実施により、出生率の向上や人口流出の歯止めといった仮定が実現する場合、当市の人口は2060年において約157,000人と推計され、社人研の推計を上回ることも可能としています。

 人口減少時代における交流人口の獲得、さらには、新型コロナウイルス収束後の観光需要の取り込みに向け、観光地間競争が激化していますが、当市においては、国や県、近隣町村のほか、VISIT はちのへをはじめとする関係団体とも連携し、国内外からの観光客の受入体制の強化とともに、八戸圏域の有する地域資源の強みを最大限に活かしながら、「観光」による交流人口・関係人口の拡大を図り、持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。

※1:観光地域づくり法人(DMO):観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人。(Destination Management/Marketing Organization)

※2:地方創生:地方の人口減少に歯止めをかけ、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくこと。

2023年2月掲載