はっちを通して八戸を思う

ボランティアガイド 小松 陽子さん

 八戸の空気が恋しくて定年を機に戻って参りました。私もUターン経験者です。程なくポータルミュージアムはっちが平成23年2月11日、中心街活性化を目的に開業いたしました。同時期ボランティア登録をし現在にいたっております。

 開業日から令和4年10月までの累計来館者数が972万8千人ともうすぐ1千万人目のお客様をお迎えいたします。今から楽しみです。はっちは市民のみなさんに愛され必要とされている場所だからです。

 「屋根のない大きな博物館」フィールドミュージアム八戸を8個の展示屋台にぎゅーっと凝縮した展示品を拙い説明で興味を持っていただき実際に観光場所に出かけてもらうよう私たちガイドは工夫をしながらそれぞれのブースをご案内いたします。

 館内には市内在住の作家さんたちの作品が多数展示されており時に作家さんに会えることもしばしば。

 一階はっちひろばのからくり時計は私の好きな展示品の一つです。龗神社の法霊神楽をモチーフに作られました。作者はからくり木工作家高橋みのるさんで製作秘話などお聞きした説明をお客様にご案内しております。時報の歯打ちが始まるといっせいにスマホで写真をとります。

 八戸地方は伝統芸能も盛んで一つ目は夏のまつり八戸三社大祭です。300年の歴史は古式ゆかしい神社行列と豪華絢爛な山車の競演が見もので、神話や歌舞伎等を題材に毎年新しく制作される山車は2016年、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

 8月1日のお通りの中で見る法霊神楽の一斉歯打ちは八戸市民の心の拠り所でみた後は老若男女余韻を感じながら家路に着くのです。

 伝統芸能二つ目は冬の八戸えんぶり(朳)

 800年の歴史があり八戸市とその周辺地域に伝わる豊作祈願のまつりです。馬の形を表す烏帽子を被った太夫たちの一斉摺りも吐く息、ほとばしる汗、湯気に感動をおぼえます。因に烏帽子の重さは2キロですと説明をすると又、驚きます。私も及ばずながら祝福芸の演目の中から手づくりブローチ(展示画を参考)を胸に歓迎を致しております。

 青森県の一市ですが県東部に位置する八戸市は日照時間も長く冬でも天気の良い日が多く朝から眩しさを手で日除けをしながら外出いたします。雪がほとんど降らないので生活がしやすいです。

 水産の町八戸は「いか・さば・タラ」の水揚高で知られておりますが昨今の海水温等の事情で不漁が続いて残念です。先日、見学に来た小学生の一人が「いか、食いてー」と叫んでおりました。

 全国的に有名な館鼻岸壁朝市は3月から12月迄毎週日曜日、日のでと共に開き訛りことばが行き交います。売り買いをしている内に友達になってしまう不思議な場所です。

 岸壁朝市を東に進むとウミネコの繁殖地蕪島に到着です。5月に産卵が始まり7月ヒナの誕生、時を過ごし親鳥の大きさになり巣立の練習を繰り返し8月に蕪島を飛び立っていきます。蕪島は「みちのく潮風トレイル」起終点で2019年6月9日、福島県相馬市まで全線開通となりました。

 続いて自然の美しさをみせている種差海岸を散策しましょう。「他の星からの訪問者を一番先に案内したい海岸」と小説家司馬遼太郎は美しさを称えております。650種以上の花が四季を通じ私たちを楽しませてくれます。

 フィールドミュージアム八戸についてまだまだ紹介しきれませんが「百聞は一見にしかず」。「八戸さ一度おんであんせ~」

2023年2月掲載